和食教室 花道

和食の基本〜ご飯の炊き方・出汁のひき方・かえしの作り方〜

洗米の基本と土鍋ご飯の炊き方

最近の炊飯器は性能が良いので、手軽に美味しい炊きたてご飯を食べることができます。
しかし、土鍋を使って炊くことでより美味しさを感じることもできます。
何よりも自分で1からお米が炊けたという達成感もあります。
土鍋が無くても「手鍋」と「蓋」があれば簡単にできますのでチャレンジしてみましょう。

食材豆知識

お米はうるち米ともち米に分かれます。もち米はモチモチした食感でお餅の原料となり、赤飯やおこわ等に使用されます。
今回は、私達が主食としているお米、うるち米にスポットを当ててみましょう。
栽培方法を簡単ですが紹介します。
<春>良い種を選別し、苗として育てます。
田んぼを水をはり、そこに苗を植えていきます。(田植え)
田んぼの水かさを調節しながら稲として成長させていきます。
<夏>成長した稲を時間をかけて乾燥させていきます。
<秋>稲刈りを行い、天日干しや機械乾燥をして玄米となります。
玄米を精米していくと胚芽米→白米→上白米と呼ばれていきます。
このようにして、お米は手間と時間をかけ栽培し、大切な主食として毎日食べることができます。
白米は栄養価が高く、特にビタミン類が豊富に含まれ、不足しがちな食物繊維も補うことができます。
最近話題の発芽玄米は、玄米の状態で発芽させて、栄養価を高めたお米です。
玄米もビタミンが豊富に含まれていますが、発芽玄米はビタミンだけでなく食物繊維も更にアップしています。
発芽玄米は玄米よりも食べやすくなっているので、一度お試しになってみてはいかがでしょうか。

 

材料4人分

重量 容量
300g 2合
400g 2カップ

洗米&炊き方

@ザルに分量の米、ボールに洗米用の水をためておく
ザルの中で洗米しますが、ザルの目で米を傷つけないように、優しくとぎます。
A洗米したてのとぎ汁はぬか臭く、米自体に臭みが付きやすいので、サッと洗い、とぎ汁を捨て新しい水を溜めましょう。
B2回目以降は「拝み洗い」と言って米同士をこすり合わせ、拝むように丁寧に洗います。
C全体的に洗米したら、とぎ汁を捨て新しい水を溜め、もう一度拝み洗いします。
近年の米は精米技術が進歩しており、ぬか臭さは感じにくいです。
なので、とぎ汁が透明になるまでとぐ必要はありません。
D軽く水気を切り、ボールに炊飯用の水を用意し、洗米したお米を30分浸しましょう。
水に浸けておくことで、炊き上がりがふっくらします。
E30分経ったら、ボールから土鍋へ移しましょう。
御飯の炊きムラが出ないよう平らにならしましょう。
F蓋をして、中火にかけて沸騰を待ちます。
G湯気が立ち始めたら沸騰の合図、弱火で10分。
H10分後、中火にし10秒加熱します。「パチパチ」と小さな音が聞こえてくるのが終了の合図です。
最後に火を強めることで、お米の一粒一粒が立つように仕上がります。
I10分蒸らして完成です。

 

出汁のひき方

和食だけでなく「出汁」という概念は非常に重要です。
味の基礎となるものなので、美味しい出汁がひければ、料理の5割は完成したと言えます。
最近では「だしの素」など様々な出汁が売られていて簡単で美味しくできますが、ワンランク上の調理をするためには正しい出汁のひき方を練習しましょう。
また、お子さんのために化学調味料を控えたい方にも役立ちます。

食材豆知識

かつお節

「花かつお」「削り節」「枯れ節」など、スーパーに行けば様々な名称のかつお節があります。原料は同じ鰹なのですが加工方法によって名称が変わります。
漁獲された鰹を切り分け、長時間煮込み臭みを消します。その後、皮や骨を取り除く下処理を行い、繰り返し燻します。ここで完成したものを「荒節」と呼び、これを削ることで一般的に流通する「花かつお」や「だしパック」として商品化します。荒節にカビ付けしたものを「枯れ節」と呼びます。手間と時間がかかっているだけに枯れ節は高価ですが、出汁の香りを大切にする日本料理には欠かせない食材です。
削り節の選び方は赤い部分(血合い)が少なく、肌色に近いものがオススメです。削り節は酸化に弱いので、鮮度が悪いものだと茶色がかってきて、乾燥し形が崩れやすくなります。使いかけの削り節は密閉し、冷蔵庫または冷凍庫で保管しましょう。
和食は出汁で料理の完成度が左右されます。ワンランク上の料理を目指すのであれば、上質なかつお節を購入することをオススメします。

 

一番出汁

材料  出来上がり約1000g

重量 容量
1000g 5カップ
昆布 10g -
かつお節 50g 1つかみ

 

@水1000g・昆布10gを30分以上かけて、水で戻します。理想は12時間が良いです。
A火にかけ、沸騰直前で昆布を引き上げます。
引き上げるのが遅くなるとぬめりやエグミを出すので注意!
Bかつお節50gを加え、弱火にします。
火が強いとかつお節が泳ぎ、雑味が出るので必ず弱火。
Cキッチンペーパーやさらしで、削りかすが落ちないように漉します。
D黄金の一番出汁、完成です!

 

二番出汁

一番出汁とは違った、濃厚なコクと旨味を演出できる二番出汁。
特に煮物・和え物・お浸しで重宝されます。
味に厚みが出て、料理に奥行きが出ますよ!!
材料  出来上がり約300g

重量 容量
500g 2と1/2カップ
昆布(出がらし) 10g -
かつお節(出がらし) 50g 1つかみ
かつお節 5g -

 

@一番出汁で使った、昆布とかつお節の出がらしに、500gの水を加えます。
A弱火で5分煮ます。火力が強いと雑味が出るので注意しましょう。
Bかつお節5gを加えます。これを「追いがつお」を言います。
C弱火で1分間煮出します。
Dキッチンペーパーやさらしで漉します。
E黄金の二番出汁の完成です!

 

厚削り出汁

厚削りで出汁を引く時は、煮立たせずじっくりと旨味を引き出すのがポイント
蕎麦やうどんの完成度を高める重要な出汁です。
カツオだけでなく、サバやアジ等、コクの強い削り節もあるので好みを探してみましょう♪

 

材料 出来上がり約300g

重量 容量
鰹厚削り 30g -
昆布 5g -
600g 3カップ

 

@昆布を一晩かけて、分量の水で戻します。
A厚削りを加え、弱火で15分煮ます。
出汁の中で気泡が立つ程度の火加減がベストです。
B漉して完成!

 

濃厚!昆布出汁!!

昆布の濃厚な旨味は万能です。
特に和え物・お浸しの愛称は抜群!
戻し時間はかかりますが、チャレンジしてみてください。

 

材料 出来上がり約600g

重量 容量
1000g 5カップ
昆布 20g -

 

@水1000g・昆布20gを12時間かけて水で戻します。
A弱火で80℃を保つイメージで、30分煮出しましょう。
B火を落とし、昆布は引き上げず出汁を冷ましながら、ゆっくりと旨味を引き出しましょう。
C30分程度冷ませば、濃厚昆布出汁の完成です!

 

かえしの作り方

かえしには種類があり、「本かえし」「生かえし」「半生かえし」の3種類存在します。
かえしの由来は「醤油を煮返す」ことからそう呼ばれ、保存性を高めるだけでなく、醤油独特の雑味や塩分の角を取ることが目的です。
そば屋・うどん屋など独自の配合と加熱方法、寝かし方等、店の味を決めると言って良いでしょう。今回は、お家でも簡単にできて、煮物やめんつゆとして利用できる本かえしをご紹介します。

食材豆知識

味醂

スーパーで並んでいる「本味醂」と「みりん風調味料」というのは、明確な違いがあります。
アルコールの配合割合が全く違います。本味醂は約14%のアルコール分を含んでいますが、
みりん風調味料は約1%しか含まれていません。この違いにより、酒税法が関係し、本味醂はお酒の販売免許が必要ですが、みりん風調味料に販売免許は必要ありません。
なぜ、2種類の商品として住み分けられているかというのは、味醂の効果が影響しています。
蒸したもち米米麹・焼酎を加え、発酵させたしぼり汁が味醂となります。アルコールともち米が反応し、米のでんぷん質独特の甘さと焼酎のアルコール分が、料理に甘さ・旨味・コク・照りを表現することができます。
煮物料理には、欠かせない調味料ですが、高価な調味料のため一般家庭に馴染みの無い調味料となっていました。そこで、アルコール分を少なくし、酒販売免許を持っていない店舗でも手軽に、そして安価に販売できることを目的としたのがみりん風調味料となります。
みりん風調味料でも、味醂の効果は期待できるので、一家に一本常備をオススメします。

 

重量 容量
醤油 300g -
本味醂 50g -
上白糖 25g -

 

@醤油を鍋で加熱し、80℃くらいまで温めます。
絶対に沸騰させないでください!!雑味が出て、出来上がりの味が不安定になります。
A上白糖を加え、しっかりと煮溶かします。
B本味醂を加え、3分弱火で加熱します。
C火を止め、容器に移し替え粗熱を取ります。
粗熱が取れていない状態で蓋をしてしまうと結露を招き、水滴がかえしに入り、劣化してしまうのでしっかり冷ましましょう。
D2週間冷蔵庫または冷暗所で寝かして完成!
2週間寝かすことで醤油の雑味と塩分の角が取れ、味がマイルドになります。

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